2010年09月22日
西園寺公望公をもてなした料理のお品書きと器の数々
7月26日、静岡商工会議所報「Sing」9月号「しずおか企業遺産」の取材で、割烹・佐乃春を訪れました。「しずおか企業遺産」は、静岡の産業の歴史を目で見る形で紹介しようという企画の記事です。
最後の元老・西園寺公望(さいおんじきんもち)公爵をもてなした料理のお品書きと器が、佐乃春に保存されています。
公望公は、70歳になった大正8(1919)年、風光明媚な興津清見寺町に別荘「坐漁荘」を建て、昭和15(1940)年に亡くなるまで、坐漁荘で多くの日々を過ごされ、地元の料理店に料理を注文されていました。
注文された料理が整った頃、佐乃春には坐漁荘から迎えの自動車が来ます。料理を積み込み、料理人も乗り込み、坐漁荘の台所で料理を温めなおし、京都や九谷の最高級の器に盛りつけて出しました。
佐乃春には、24コース分のお品書きが残されています。それを見ると、公望公は、やわらかく、さっぱりした味付けの料理を好まれたようです。
そのひとつが「興津鯛(おきつだい)」。徳川家康公が大御所として駿府に城を構えた頃、侍女のすすめたアマダイの焼物を賞味し、その女性が興津の局と呼ばれたのにちなみ、「興津鯛」と命名されたと伝わる料理です。特に秋から春に獲れる田子の浦産のシロアマダイ(シラカワ)を久能塩で干し、味醂で調理した「興津鯛」は絶品で、公望公も大変好まれたようです。
佐乃春では、70年の時を超えて、公望公が愛された料理を復元し、お客様に味わっていただいています。
割烹 佐乃春
静岡市葵区両替町1丁目4‐8
TEL 054‐253‐0177
http://www.sanoharu.com/
※公望公をもてなした器は2階ロビーに展示しています。
⇒平成25年9月8日に閉店しました。
http://www.sanoharu.com/docs/kappou1.html
